パン粉は怒っていた。
「なんでだ!」
せっかくパンに焼かれたのに、
運悪く切りくずになって捨てられるなんて!!
パン粉は考えた。
「どうにかしてこっそりと食べられてやる!」
パン粉は
挽き肉とみじん切りがタマネギ混ぜられたボールの中に
そっと隠れ込んだ!
挽き肉からでてくる肉汁を吸い込めば、
自分がパン粉であることは気付かれなくなるはずだ!
パン粉は挽き肉とタマネギ、そして新しく加わった卵を
しっかりと自分の周りに固めてわからなくなってしまった。
しかし、問題はまだある。
このまま「タルタルステーキ」として食べられたら、
必ず風味でバレてしまう!
少しでもバレたら、
またしても残され、捨てられるかもしれない!
それならばいっそ、
自分たちをハンバーグの形に丸めておけばいいのでは?
ハンバーグの小判型になっておけば、
まず間違いなく焼かれるだろう!
パン粉は、
優れたリーダーシップを発揮して、
慎重に、そして大胆に、
自分たちを手のひらサイズのハンバーグにまとめあげてしまった!
(もともとパンは、サンドイッチになって野菜やハムたちをまとめる練習をしていたので、リーダーとしての才能があったのだ!)
これでもう、当初の計画を達成することができる・・!
そうおもった瞬間、
パン粉に、今まで体験したことのない振動が走った!
右手と左手で「バシッ!バシッ!」とキャッチボールされているではないか!
ハンバーグのなかの空気が次から次へと抜けていく!
「もうダメだ!」とパン粉が感じた瞬間、
彼の体は無意識のうちに熱せられたフライパンに飛び込んでいった!
ジュワーーーー
気持ちのいい、油のはねる音で、パン粉は目を覚ました。
そう、ハンバーグは、両面こんがりと焼かれ、
中までしっとりと火を通され、
ご丁寧にチーズまでのせられている。
もう自分は「捨てられるパン粉」じゃない・・
「みんな大好きハンバーグだっ!」・・・。
「あれ?このハンバーグ、いつもより崩れにくくてしっかりしてるね。」
ハンバーグのタネをこねるとき、
パン粉や牛乳を入れると
つなぎの役目をはたします。

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