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「自分にないものを持っている人に、人は恋をする」
とよくいいます。 ブルーベリーもそうでした。 見た目もかわいいし、 香りも人気で、 他の果物がうらやむくらいの ブルーベリーでしたが、 一つだけ自分に不満がありました。 それは、甘みが足りないこと。 確かに、ほのかな甘みはあったのですが、 自慢の酸味に埋もれてしまっているのと、 「ブルーベリー」と言われたときのイメージが大きすぎて、 実際に食べた人が 「あれ?思ったより甘くない」と感じてしまうのが、 ずっと不満だったのです。 だから、「甘いもの」にはいつも嫉妬心をもっている ブルーベリーちゃんでした。 そんなある日、「彼」に出会ってしまったのです。 彼はまさに「甘いもの」で、 あまりの甘っ苦しさに、 さすがのブルーベリーちゃんも 嫉妬どころか、 もはや「恋」をしてしまいました。 ブルーベリーちゃんは、いつか彼と一緒になりたくて仕方なくなりました。 「彼」とは? 甘いで有名なバナナでしょうか? よく熟したりんごでしょうか? いいえ、もっと甘い、甘味そのもの。 砂糖です。 ブルーベリーちゃんは砂糖くんに恋をしてしまったのです。 でも、二人は果物と砂糖。 一緒になれる機会なんて、なかなかやってきません。 だってそうでしょ? ブルーベリーに砂糖をかける人っていますか? ブルーベリーちゃんは考えました。 「自分が、このままだったらいつまでたっても砂糖さんとくっつけない!」 「変わらなきゃ!」 でもどうやって変わったらいいのでしょう。 周りの皮をとっても、細切れになっても、 けっきょくそんなに変わりません。 ある日、ブルーベリーちゃんは決心しました。 「自分の長所の「新鮮さ」を忘れよう! これが砂糖くんとの仲をジャマしているんだ!」 ブルーベリーちゃんは、思い切って鍋に飛び込み、 火にかかってドロドロになったのです。 火にかかって液状になったことで、 ようやく砂糖くんと混ざり合うことができたのです。 そうした二人の運命の出会い、 そう。二人はブルーベリージャムになったのです。 めでたしめでたし。
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じゃがいもは冷静だった。
フィールドに立ったときから、 自分でも驚くくらい周りがよく見えていた。 相方は、ずっとコンビを組んできたタマネギ。 二人は、野暮ったいくらい地味だが、 抜群の相性のパートナーだ。 この日の大切な試合に向けて、 二人でじっくりと鍋に煮込まれる 猛特訓をしてきた。 準備は万端である。 地獄のような煮込み特訓から きちんとクールダウンして、 興奮するような熱は取り除いてある。 じゃがいもは、タマネギと 互いに冷静であることを確認すると、 うなずき合い、 あの連携技をくりだした。 「ミキシング」である。 互いの身体をグルグル回転してトルネードを起こすのだ。 あまりの回転の威力で 互いの体はバラバラになってしまった。 それでも二人は回転をやめない。 もうバラバラどころか、ドロドロになって ようやく回転を止めたのだ。 これで終わりか・・?と周りが思ったとき、 次の攻撃がはじまったのだ。 まさかの連続技である。 ドロドロになったジャガイモとタマネギは、 こし器に自分の体をぶつけ、 むりやりこし器を通ることで ドロドロの体を滑らかに変えたのだ! 周りでこの一連の技をみていた対戦相手でさえも、 試合を忘れて あまりの滑らかさに一瞬魅入ってしまったほどだ。 しかし、我にかえると、 なんとか二人をとめようとする。 滑らかなものには滑らかなもので対抗するのである。 生クリームと、牛乳だ。 この液体に水を差された ジャガイモとタマネギは、 それでも冷静だった。 牛乳も生クリームも、自分たちを阻止できる物ではない。 むしろ、 こうなることを彼らは予期していたのだった。 全ては二人の計画通りだったのだ。 二人はさらに冷静になっていく。 ここぞとばかりに塩こしょうで味付けをするジャガイモ。 勝負は決まった。 割れんばかりの歓声をおくる観客たち。 勝者に贈られる、パセリの吹雪。 どこまでも冷静な二人は、 こうして冷製なスープになった。 ビシソワーズ。
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